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2016年5月31日火曜日

おっと…眼鏡が出てきた…。




















炎天の城や雀の嘴(はし)光る      中村草田男



編集長の林です。

先日、福岡本社に出張した。
朝9時過ぎの飛行機になるので、いつもより早く起きねば・・・。
そう考え出すと、私はとたんに眠れなくなってしまう。
その日は結局、ほとんど眠らず福岡へ行った。

福岡ではかなりお酒をいただいた。
ホテルに戻ると、気持ち悪くなってしまい、夜中に5回ほど目が覚めた。

帰京して「寝不足分を取り戻すぞ~!」と早めにベッドに入ったが、やっぱり・・・眠れない。
ふらふらになって会社へ出勤した。
その日の事である。
「眼鏡」を無くしたのは…。

どこを探してもない。
机にもロッカーにも鞄にもない。
通勤途中に落としたかも…、と鉄道会社に問い合わせたがやはりない…。

しかたがないので昨日、新しい眼鏡を買った。
そうしたら今朝、出てきた。
(写真参照)

なんと、本棚の上に乗せて、そのままにしてしまったようだ。
今朝、遠藤さんが見つけてくれた。
記念に写真を撮っておいた。

みんなに大笑いされた。
が…、昨日、横澤放川「萬緑」選者とお話をしたのだが、その中で、中村草田男も実に忘れ物や勘違いが多く、かなりの「おっちょこちょい」だった、という話を聞いた。

「おっちょこちょいは芸術家の証明なのである。」

私はそう思うようにしている。
















※右が見つかった古い眼鏡、左が昨日買った眼鏡

2016年5月27日金曜日

熊本のいま




こんばんは、遠藤です。

6月号はいかがでしたか?

よろしければ別冊巻末の読者アンケートハガキで
ご意見、ご感想を教えてくださいね。





現在制作中の7月号では、
熊本地震を取り上げた企画もあります。


熊本在住の先生方が、熊本のいまを詠んだ句をお寄せくださいました。

リアルタイムでニュースを見てはいましたが、
記事作成のために改めて調べてみると、
その被害の大きさに言葉を失います。

がっちりと組まれた熊本城の石垣が
がらがらと崩れ落ちてしまうほどの大きな揺れ。


体に揺れを感じる地震は、ここ数日も続いているようです。
そんな心身ともに休まらない日々の中、
寄稿してくださった先生方に感謝いたします。




東日本大震災のときもそうでしたが、
過剰な自粛ムードがなんだか苦手です。

テレビ番組が放送を自粛して
避難所で被害状況のニュースを繰り返し見せられては、
気落ちする一方では…と私は思います。

確かに安否確認など重要な情報もありますが、
子どもでなくとも娯楽のためのチャンネルがあると気分が変わりますよね。

震災に限らず、もしお辛い状況にあるならば
「俳句界」を読むことが、すこしでも息抜きになれば…と思います。
がんばり続けることはできませんからね。


被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

2016年5月26日木曜日

7月号入稿中

木曜担当の加藤です。
今、7月号の入稿真っ最中です。

7月号の特集は、次号予告にも掲載してある通り

「阿久悠の詩の世界」です。



ご存知の通り、「俳句界」編集部のメンバーは、このブログを書いている四人。
実はこの四人が、見事に五十代、四十代、三十代、二十代と分かれているのです。

阿久悠の歌詞を「懐かしい~!」と言いながら、ほとんど歌えてしまうのは、
五十代の編集長と四十代の私、加藤の二人。
きっと「俳句界」の読者の皆さんも、歌詞の出だしや、有名なイントロを聞けば
声を合わせて歌えるのではないでしょうか。

歌というのは不思議なもので、メロディーや歌詞と一緒に
そのときの自分の思い出もセットになって浮かんでくるものですよね。

私にとって一番なじみ深い曲は、なんといってもピンクレディー。
ピンクレディーのヒット曲のほとんどを、阿久悠・都倉俊一の作詞・作曲コンビが
作り出したのは、有名な話です。

ピンクレディーの歌を歌いながら、ランドセルを背負って帰った故郷の景色。
ああ、懐かしい。
『サウスポー』なんて、なぜか小さい頃に住んでいた家のお風呂場が浮かんできてしまいます。
(いつも歌いながら風呂掃除をしていたため)

今回、あらためて阿久悠の歌詞を読んでみて
「えっ!!この曲も阿久悠だったの!?」と何度驚いたことか……。

歌詞自体も、その言葉のセンスと発想の豊かさに何度もため息が出たほど。

嫁に来ないか

あの鐘を鳴らすのはあなた

さらば涙と言おう

舟歌

ジョニイへの伝言

みずいろの手紙

学園天国

林檎殺人事件

たそがれマイ・ラブ

色つきの女でいてくれよ

などなど……


『感動する話は長い、短いではない。3分の歌も2時間の映画も感動の密度は同じである』

その言葉通り、詩を通じてさまざまなドラマを魅せてくれた阿久悠の世界を

7月号でぜひご堪能ください。



ではまた来週。




2016年5月25日水曜日

名古屋へ行ってきました

こんにちは、松本です。

先週末のお話ですが、名古屋に行ってきました。

加藤耕子主宰の「耕」30周年祝賀会です。
















「耕・Ko」は、昭和61年に名古屋で創刊。
HAIKUとしての英文誌も出されている、全国でもまれな結社です。

そのため、当日は海外からの御来賓の方々もおおく、とても国際的でした。

同じテーブルに、蕪村の句2880句を漢訳して、中国で出版されたという
王岩(ワン・イェン)さんもいらっしゃって、実物を見させていただきました。
とても分厚くて(3cmくらいあった)、日本語と漢訳が記されていました。
(残念ながら、読めなかったのですが……)

英訳はよく聞くけれど、漢訳は初めて聞いたので、とても興味深かったです。












(耕子先生と、王さん)




おもえば、中国の詩の文化は日本よりもはるか昔からあるもの。
漢字を頂いて発展した日本の、短詩との親和性があるのは当たり前でしたね。

それでも実際に、分厚いご本を拝見して、蕪村の俳句が漢訳されて読まれている、
という事実に、じわじわと感じ入ってしまいました。

ちなみに、蕪村の代表句は、下記のように訳されていました。


菜の花や月は東に日は西に   蕪村

菜花金黄染大地、月上東天日沈西  (王岩氏訳)


漢詩は韻が重要なので、音読で聴いて真価が発揮されるのでしょうね……。
大学時代に中国語を選択したくせに、自分の名前くらいしか言えない私は、
まったく想像ができないのでした……。

今度お会いする機会があったら、音読していただきたいです。


それでは、また来週。
(水曜日再見!)


2016年5月23日月曜日

文挟夫佐恵と、例幣使街道「文挟」のこと















どうでもいい話かもしれないが、人によっては、へ~、と思ってくれるかもしれないので書く。

文挟夫佐恵さんのことである。
知らない人もいるかもしれないので略歴を…。

文挟夫佐恵(ふばさみ・ふさえ)
大正3年東京府大久保生まれ。
東京府立第五高女卒。
上川井梨絵「愛吟」、飯田蛇笏「雲母」を経て、石原八束らの「秋」に参加。
「秋」主要作家として活躍。
平成10年、八束没後、「秋」主宰を継承。
第12回現代俳句協会賞、第2回桂信子賞、第47回蛇笏賞などを受賞した。
句集に『黄瀬』『葛切』『天上希求』『井筒』『時の彼方』『青愛鷹』『白駒』などがある。
平成26年没、享年100。

特筆すべきはなんといっても「蛇笏賞」である。
なんと99歳で受賞した。
史上最高齢受賞である。

俳壇の高齢化を感じる出来事だったが、高齢でも立派な充実した作品を作ることができる、と証明してみせた出来事だったようにも思える。
石原八束存命中は、「秋」の顔はなんといっても八束であったから、いわば「二番手」の彼女に日が当たったのもいいことだった。

代表句をあげておこう。

炎天の一片の紙人間(ひと)の上に
南海の地図の蒼さを初夏の部屋
帰還兵なり雪嶺の下に逢ふ
凌霄花(のうぜん)のほたほたほたりほたえ死
反戦の一人の旗を巻く朧
風花や候文の恋ありき
九十の恋かや白き曼珠沙華
艦といふ大きな棺沖縄忌
限られしいのちの果の花万朶

個人的にはやはり晩年の作品が素晴らしいと思う。
自在な詠みぶりで、一つの「老詩境」を示してくれた。
こういう自在な詠みぶりは、これまで男性俳人にはいた。
しかし、文挟さんの老詩境には自然な「艶」があった。
そこがいい。

さて、言いたいのはここからである。
私はいつも、

「文挟」って珍しい名字だな~~。

といつも思っていた。
文挟さんの作品に触れると、(もちろん作品も素晴らしいのだが…)いつも、名字の珍しさにひかれた。

ところで私は現在、「おくのほそ道」踏破の旅をしている。
GW後半、2日ばかりだが、歩いた。
「室の八島」から「日光」までである。
日光手前の「杉並木」では足が棒のようになった。
車で通ればあっという間だが、歩くと、「なんて遠いのだろう…」と思った。

その杉並木の後半に「文挟」という駅があった。
驚いた。
案内板を見ると、ここら一帯が「文挟」という地名らしい。
栃木県鹿沼市を抜け、日光今市宿の数キロ手前にある。

ひょっとして文挟さんはここの出身なのではないか?

と思った。
もちろん「祖先」がである。
そうでなければあんな珍しい名字が付くものか…と思った。

家に戻って調べてみると、「文挟」姓にはこういうことが書かれていた。

栃木県文挟宿発祥の姓。
近年では今市市(現・日光市内)に多くみられる。
「語源」は日光東照宮に差し出す幣と宣命を入れた箱を奉じて、進行した場所に由来する。

とある。

後半の説明があやふやな気がする。
つまりこうだ。
「挟」とは「書物を蔵する箱」をいう。
「宣命」は「天皇の命令書」。
天皇の命令書(実際は東照宮に祀られている徳川家康をたたえる言葉だろう)を入れた「箱」を「文挟」というのだろう。
それを、ここらへんから捧げながら歩いたことから「文挟」となった。

ここは「例幣使街道」なのである。
例幣使とは、天皇の使いである。
天皇の使いが、京都から中仙道を通り、高崎の追分から例幣使街道に入り、日光東照宮へ向かう。
その街道なのである。

私は大満足した。
長年の疑問が解け、晴れ晴れとした。
まあ、あっているかはわからない…(笑)。

書物には「文挟」という姓は「ほぼ十人」と書いてある。
ホントかどうか知らない。
(10人っていったら2家族くらいしかいないじゃん…。)


2016年5月20日金曜日

できたての6月号が届きました~!


こんばんは。

昨日の加藤さんの記事アイフォン事件
私も気を引き締めねばと強く感じている遠藤です。


パスコードを忘れるのとは少し違いますが、
田舎でボーッと暮していたときは、
家の鍵を落とす、自転車の鍵をなくす、
携帯電話を置き忘れる、、、しょっちゅうでした。

それでも毎回どなたかが拾ってくださり
100%手元に戻ってきたので
懲りずに何度も繰り返していました。お恥ずかしい…
(あのとき届けてくださった心優しきみなさま…
 本当にありがとうございました)


上京したては緊張感を持っていたおかげ?で、
東京では無事に生活してきましたが
最近慣れてきてぼんやりしている気がします。気をつけねば…!




さて今日は、刷りたてほやほやの6月号が
編集部に到着しました。



編集部へ直接ご注文いただいた方に、近日中に発送します!

定期購読のお申込みをされている皆さまには
配送センターから一斉にお届け。

書店へも順次配本され、発売日の 
5月25日(水)には店頭に並びます!


今回の特集は
小説が描いた時代、俳句が描いた時代

女性にもおすすめ!
御朱印を求めて~夏の寺社めぐり
の2本です。

長年作句されている方はもちろん、俳句初心者の方、
はたまた俳句を知らない方にもお楽しみいただける特集です。
(そうだといいな…という希望を込めて……)


心優しき「俳句界」読者のみなさま、ぜひ最新号もご覧いただき、
ご友人やご家族へご紹介いただけると嬉しいです(^^)

2016年5月19日木曜日

アイフォン事件




アイフォン……アップル社製のスマートフォンのこと。


木曜担当の加藤です。

アイフォンユーザーになって2年。
先日、
パスコード(アイフォンを他人に見られないようにするための鍵)の
6桁の数字を忘れてしまい、自分のアイフォンがまったく使えなくなりました。

FBIとアップル社が、事件の犯人ののこしたアイフォンのパスコードを解除するしないで
大きなニュースになっていましたが
まさか自分がパスコードを忘れるとは夢にも思っていませんでした。

結果、入っていたデータをすべて消して、アイフォン自体は使えるようになったのですが
今回、あらためて感じたのは、

どれだけ自分がアイフォンに依存した生活をしていたか、ということ。


「パスコードの解除ってなにか方法ないの?」→調べられない

「アップルのお店に電話して……」→お店の電話番号も場所も調べられない

「家族に電話して事情を話して……」→電話をかけられない

「公衆電話から家族に電話を……」→電話帳もアイフォンの中


そうなるともう、アイフォンがなかったとき
自分がどうやって生活していたのかも思い出せない状態に。

本当に、心の底からゾッとしました。

家にあったパソコンで調べてお店には行けたのですが、
家族とはその間連絡もできず。

この小さな家電製品は、それはそれは便利なものですが
それにすべてを委ねるのは、正しい使い方ではないですね。

データのバックアップをとっておくのは勿論、
必要最低限の連絡先は紙に書いて財布の中に。
本当にいい教訓になりました。

自己嫌悪で地面に半分ぐらい沈んでいた、週末だったのでした。

ではまた来週。


2016年5月18日水曜日

「選は創作なり」~編集部勉強会

こんにちは、松本です。

今週は、校了後のほっと一息週間なのですが、この時期はいろいろな準備をしたり、取材に行ったり、雑務を片づけたりしています。

そして、企画会議と、「編集部勉強会」を行う時期です。

最近は忙しく、なかなか時間が取れなかったのですが、一応月に一回、編集長による俳句の講義があります。
編集長は「俳人」ですが、スタッフは実作をしていないため、まだまだ不勉強な部分があり、ご教授いただいているわけです。

さて、今回は、「選句」でした。

有り難くも、句会にお呼ばれしていただく機会もあるので、改めて「選とは何か」「句の読み方」「解釈の仕方」などを学ぼうということです。

実際にやってみると、面白いことに選が全員バラバラ!!!!

その後の、講評も、自分が感じた事とは違って、面白かったです。

選をする前に、編集長は、

「俳句は”作者”ではなく”鑑賞者”が創りあげる文芸」

「鑑賞者は全身全霊で俳句を鑑賞することがマナー」

と言っていましたが、まだまだその領域にたどり着くには、経験も知識も感性も足りない……と
改めて思った次第です。

うーん、もっと精進せねば……。

選の面白さと、複雑さを同時に感じた一日でした。


それでは、また来週♪

2016年5月17日火曜日

企画会議ともろもろ

雑誌は少々、中休み。
…とはいってもこの時期やらなければならないことがある。
企画会議である。
今は9月号の企画を考えている。

今日は11時からさっきまで会議をした。
この案をまとめて、社長に提出し、社長の了承を得て決定する。

先日、第二特集の企画が甘いことを指摘され、それを練り直している…というか全然、別の企画案になった。

これが終われば、執筆者への依頼、もろもろの交渉が始まる。
編集作業は月の後半から忙しくなるので、その前にこれを終わらせておきたいのだが、月末までずれ込んでしまうこともある。

今日は雨。
昨晩もそうだが、早朝にも関東では地震があった。
それで目が覚めてしまったし、地震の影響で通勤ダイヤも乱れていた。
ちょっとお疲れモードである。。

2016年5月13日金曜日

阿久悠記念館へ行ってきました


こんにちは、金曜日担当の遠藤です。


現在制作中の7月号では、作詞家の阿久悠特集を企画しています!


今週はその取材で、明治大学内にある
阿久悠記念館へお邪魔してきました。



阿久悠氏が手がけたたくさんの作品や自筆原稿(複製)
リアルに再現された書斎などが展示され、
入場無料とは思えない見応えのある記念館でした。

(再現された書斎、ペン立てに
 白いふわふわの梵天がついた竹製耳かきを見つけ
 編集長と同じだ…とクスッとしてきました。)

7月号もお楽しみに!


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阿久悠記念館
東京都千代田区神田駿河台1-1 
明治大学アカデミーコモン地階1階
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また、わたしは百恵ちゃんファンでありながら
宇崎竜童、阿木燿子夫妻が明治大学出身だと初めて知りました。


(おふたりのイメージといえば、横須賀ではないでしょうか?)


日本歌謡界を支えたのは明治大学では…!?なんて思った今週、
編集部でのカラオケがますます楽しみになりました(●´ω`●)

2016年5月12日木曜日

初夏の陽気





野をゆくや薄物くろき母のあと    桂信子

羅や人悲します恋をして   鈴木真砂女

うすもののみえすく噓をつきにけり   久保田万太郎


木曜担当の加藤です。

今日の東京は、夏のような日差しです。
この季節は、着ていく服で毎朝迷います。
厚着をしたら暑かったり、薄着をしたら寒かったり……なんてことは日常茶飯事。
皆さんもそんなことありませんか?

私は毎日、山手線で出勤しているのですが、
先日の同じように暑かった日の朝、着物を着た女性を見かけました。

リクルートスーツの大学生や、
流行りのシースルーの服を着た若い女性たちでごった返すホームに、
夏の季語でもある「うすもの」とまではいきませんが、
涼しげな藍色の着物をさらりと着こなした女性が二人。

体を覆っている範囲は、着物のほうが確実に多いのに、
なぜか涼しげで、とても素敵でした。

「うすもの」は絽や上布など、見た目にも涼しげな夏用の着物。
透ける素材で張りがあり、よく風を通し実際に着てみても涼しい、とあります。

「うすもの」という季語を使った句を調べてみると、
透ける(心の)奥に見え隠れする気持を詠んだような句もあって、
印象に残りました。

いつか、夏に着物を着こなせる女性になりたいものです。

ではまた来週。
















2016年5月11日水曜日

6月号校了!

こんにちは、松本です。

今日は、「俳句界」6月号が無事に校了しました。
今回はいわゆるGW進行だったので……大変でした。
大型連休は嬉しいのですが、スケジュールが前倒しになるので、楽しい休みの前が地獄の苦しみです。

とくに、今回の特集は、「小説が描いた時代、俳句が描いた時代」「御朱印を求めて~夏の寺社めぐり」と、編集部員が書く記事が多かったので、てんてこ舞いでした。

「小説が描いた時代、俳句が描いた時代」は、小説の部分は編集部全員で執筆しています。
お楽しみに~。

私は志賀直哉の「暗夜行路」を担当したのですが、お恥ずかしながら初読でして……。

志賀直哉は、短編「小僧の神様」にちなんで「小説の神様」と言われたそうで。
その事物描写力は、夏目漱石が「執筆を待っている」といい、芥川龍之介が絶賛したと言われています。
(全部、巻末の阿川弘之の解説に書いてあったことです。この解説がとても面白かった……)

解説を読んでいてすごいなと思ったのは、志賀直哉は、校正をすればするほど、原稿が減っていったそうです。
どんどん余分をそぎ落として、鋭い文章になる。うーん、すごい……。
小説家ですが、韻文を書く力に優れていたのだろうと思いました。

こうしてパソコンでどんどん書き込める時代には、なかなか難しいですね。



















特集の扉だけお目見えです。
お楽しみに!





2016年5月6日金曜日

こどもの日

抱き下ろす大中小の五月鯉  稲畑汀子




こんばんは、遠藤です。


編集部は、カレンダー通りのお休みですので、
今日は稼働していました!
しかし連休明けで金曜日、また明日お休み、というのは、
なんだか変な感じがしますね。



こどもの日、ニュースで「最近の鯉のぼりは
室内に飾る小さなサイズのものが人気」と言っていました。


各家庭で飾られなくなった大きな鯉のぼりたちは、
広場や公園に集められ、一斉に空を泳いでいましたよ。







小学生の頃、学校のそばに住む男子の家に飾られていた鯉のぼりが
ものすごい強風にあおられ、ロープからはずれてしまう事件がありました。

ダイナミックにどこまでも泳いで(飛ばされて)行く大きな鯉にクラスは大興奮。
窓に張り付いてギャーギャー騒ぎ、授業になりませんでした。




GWも残りわずか!また来週(^^)/



2016年5月2日月曜日

朴の花   森 澄雄
















朴さいて大和に花を一つ足す     森 澄雄



先日、東京荻窪にある「すぎなみ詩歌文学館」を訪ねた。
角川書店創業者・角川源義邸跡である。
今はNPO団体が管理、手入れをしていて、庭園には四季折々の花が咲いている。

この時期、ここを訪ねて楽しみにしているのが「泰山木の花」である。
入り口を入って右に進み、文学館には入らず、そのまま直進すると、庭の隅にその木はある。
源義が、かつて、

ロダンの首泰山木は花得たり

と詠んだ、その「泰山木」である。

この句は難解だと言われるが、確かにそうだ。
この句がわかれば「二句一章」がわかると、よく言われたものである。
説明してもいいのだが、長くなってしまうので今回はやめておこう。
よ~く眺めてみたがその「泰山木」はまだ「花を得て」いなかった。

その手前に朴の木があり、そこには写真のように(逆光でよく見えないが…)見事な花を得ていた。
朴の花もいい。
初夏の空気の瑞々しさを象徴するような花である。
純白の花弁もいいし、その周りの、香り立つような青葉もいい。
つねに天に咲いて、下からはよく見えないというのもいい。
「孤高」を感じる。

掲句。
大和…つまり奈良は盆地である。
高い山もなく、全体的に平らかである。
それゆえ古代都市となったのであろう。

それだけに遠くで咲いている朴の花はよく見える。
そのそばでは花菖蒲や百合なども咲いているのであろう。
夏が始まったばかりの瑞々しい大和の風景がありありと浮かんでくる。
大和の歴史を奥底に秘め、田園ののどかさを詠っている。
古代から続く豊かな時の流れ、時の厚み…、それが森澄雄が生前よく言っていた「めでたさ」というものだろう。
また「山の辺の道」を歩きたいものだ。