野をゆくや薄物くろき母のあと 桂信子
羅や人悲します恋をして 鈴木真砂女
うすもののみえすく噓をつきにけり 久保田万太郎
木曜担当の加藤です。
今日の東京は、夏のような日差しです。
この季節は、着ていく服で毎朝迷います。
厚着をしたら暑かったり、薄着をしたら寒かったり……なんてことは日常茶飯事。
皆さんもそんなことありませんか?
私は毎日、山手線で出勤しているのですが、
先日の同じように暑かった日の朝、着物を着た女性を見かけました。
リクルートスーツの大学生や、
流行りのシースルーの服を着た若い女性たちでごった返すホームに、
夏の季語でもある「うすもの」とまではいきませんが、
涼しげな藍色の着物をさらりと着こなした女性が二人。
体を覆っている範囲は、着物のほうが確実に多いのに、
なぜか涼しげで、とても素敵でした。
「うすもの」は絽や上布など、見た目にも涼しげな夏用の着物。
透ける素材で張りがあり、よく風を通し実際に着てみても涼しい、とあります。
「うすもの」という季語を使った句を調べてみると、
透ける(心の)奥に見え隠れする気持を詠んだような句もあって、
印象に残りました。
いつか、夏に着物を着こなせる女性になりたいものです。
ではまた来週。
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